アニメ猫のアニメ日記

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進撃の巨人 The Final Season Part 2 第80話「二千年前の君から」解説と考察 始祖ユミルの秘密 またも伏線回収


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進撃の巨人 The Final Season Part 2 第79話「未来の記憶」 回収された伏線!エレンの表情を追いながら考察!ジークは癒されたか? - アニメ猫のアニメ日記

「なぜすべてを見せてくれないんだ?壁が壊されることを?壁が壊される日を?カルラの安否を?本当にこれしか道はなかったのか?そこにいるんだろう?ジーク?」

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グレース版始祖の巨人とグリシャ版進撃の巨人

今回はグリシャの進撃の巨人と、グレース・レイスの始祖の巨人との闘いが描かれた。前回では描かれなかった戦闘シーンと惨殺シーンが今回描かれている。なぜなのか?今回はよりグリシャの心情を深く描きたかったからであろう。闘いはグリシャが勝利し、グリシャが始祖の巨人を取り込むことで終わった。グリシャがあっさりと勝ったのはグレースが始祖の巨人として戦うことに慣れていなかったこと、進撃の巨人側は長年の記憶の旅により戦いではどのようにすればよいか「予習」できていたためもあるかもしれない。グリシャはレイス家の人々も惨殺する。そうする必要があったからだ。しかし、グリシャはこれしか他に道はなかったのか後悔に満ちていた。最後の道を探るためにグリシャはジークに賭けてみるしかない。

ジーク、エレンを止めてくれ。。」

グリシャは自分の見た恐ろしい光景を止めることがジークにはできるかもしれないと期待した。すべての座標が交わる場所で、ジークはエレンの事情を理解した。

「まだ俺の親父が俺に喰われるところをみてないぞ」「お前が父さんを壁の王や世界と戦うようにしむけた、のか?進撃の巨人が本当に時をこえる能力があるのなら、都合のいい記憶だけをグリシャに見せて、過去に影響を与える事も可能なはず。父さ、グリシャは復権派の務めをためらっていた。お前の記憶をみるに、始祖の巨人を奪っても自分がその力を使えないことを知っていたから。しかし、始祖を奪い、それをお前に托した。もっと先の未来を見たからだ。先にある何かを、お前が見せたことで!」「感謝してるよ、兄さん。あんたが俺を親父の記憶に連れ込んだおかげで、今の道がある」「俺の望みではなくお前の望みがかなう、と言っていたぞ」「ああ、あれを見たのは四年前、俺は親父の記憶から自分の未来を見た」「く!始祖ユミル!!すべてのユミルの民から生殖能力を奪え!!」

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始祖ユミルはジークの命令に従って動きだした

もう、ジークにはエレンを説得する必要も救う余裕もない。グリシャの言った恐ろしい未来を阻止するために、今ジークはエルディア人の安楽死計画を実行する!ユミルは座標に向かって歩みだした。今でもユミルは王家に使える奴隷なのだ。そして、エレンにはいつのまにか両手が鎖でつながれている。

「ち、座標に!」「グリシャは俺にこういった。エレンを止めてくれ、と。お前に従ったことを後悔した。父親の記憶からどんな未来を見たのか知らないが、お前はすべてをみたわけじゃないんだろ?たとえば、お前がここで始祖の力を使えないことを知らなかったように。お前は無力なままだ」

ジークに無力と言われたエレンだが、両手を拘束する手かせを指を引きちぎることで脱出する。エレンはユミルに向かって走り出す。

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「無駄だ。エレン。一度動き出したユミルを止めることなど、この世の何ものにもできない」

5分以上もある長いアバンだった。そしてオープニング映像が流れた。このオープニング映像には始祖ユミルも描かれていた。そして、エレンとミカサとアルミンの子ども時代も描かれていた。彼らは木の前に立っていた!

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場面は変わって、グレースとヒストリアが木の下で本を読んでいるシーンになる。

「すごいよ、ヒストリア、もうこんなに読めるなんて」「お姉ちゃんが教えてくれるから」「あ、だめだよ、鼻水垂らしてちゃ。ヒストリアはもうちょっと女の子らしくしないと。はい、よくできました」「ねえ?女の子らしくって何?」「ん?そうだね、女の子らしくっていうのは、この子みたいなことかな?ヒストリアもこの子のことが好きでしょう?」「うん」「いつも人のことを思いやっている優しい子だからね」

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グレースとヒストリアの子ども時代。ユミルは神話の中で人を思いやる優しい子として描かれている。しかし、物語で語られるユミルは奴隷だった。

「この世界はつらくて厳しい事ばかりだから、みんなから愛される人になって、助け合いながら生きていかなきゃいけないんだよ」

しかしここで言われるユミルは、みんなから愛される人ではなく他人のために奴隷として生きる人だった。

物語は始祖ユミルを描き出す。

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ユミルが住んでいた村

ユミルの住んでいた村ではユミルが井戸から水をくみ上げている所が描かれている。ユミルの物語ではユミルは一貫して無言である。一言のセリフも吐かず、感情の表現もないに等しい。物語は淡々と映像だけでつづられていく。ユミルの住んでいた村の周りには柵のようなものがある。これは後の壁を暗示した表現なのだろうか。

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ユミルが井戸で水を汲むシーン

ユミルが住んでいた村で井戸を汲むシーン。奇妙なのはユミルの家族が描かれていないことである。まだ村を軍勢を襲って奴隷にしてしまう前のシーンなのに。ユミルには家族がいなかったのか?あるいは井戸でユミルに何か指示をしている老婆が家族なのだろうか?このシーンからいえることは、ユミルには家族らしい人が見当たらないこと、もしかしたらこの時点でユミルは既に奴隷的に扱われていたのかもしれないということがわかる。

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村に攻めてくる軍勢

ここの村へ初代フリッツ王の軍勢が攻めてくる。村を焼き払い、人々を奴隷にしてしまう。ユミルに指図していた老婆らしき人は殺されたらしい。労働力にならない老人は殺されたのだろう。人々の舌を斬ってしまうのは奴隷として扱いやすく口をきけなくしてしまうためか。ユミルも首に縄をかけられ奴隷として扱われる。この表現だとユミルも舌を斬られているはずだが、巨人化後は欠損した部分は修復されるはずなので、口がきけてもおかしくないのにユミルは無言のままだ。

ある時にユミルが結婚式を見かける。

ユミルは足を止めて見つめている。人々が集まり、中心では新郎と新婦をおぼしきひとが口づけをしている。ユミルの表情は何もかわっていないがユミルはこのような結婚式にあこがれているのだろうか。人々に祝福されいのか。

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結婚式を見つめるユミル

「この中に豚を逃がしたものがいる。名乗り出よ。でなければ全員から片目をくり抜く。奴隷に目玉は二つもいらん」

周りの奴隷たちから一斉に指さされる哀れなユミル。ユミルは自分を指さした奴隷たちを見渡して、彼らが自分に犠牲になって欲しいのだと知る。ユミルは自分がやったと認めて彼らを救うことにする。

「逃がしたのはお前か。よかろう。お前は自由だ」

フリッツ王はユミルを一度は自由にして、その後を狩りだして殺すことにしたのだった。傷つけられ、矢を射かけられるユミル。片目はどうやら潰されたらしい。倒れた所で花が咲いている。初めてここでユミルの感情が表現される。ユミルは涙を流した。ユミルにも感情があるのだ。ただ、世界があまりに過酷なために表現することを許してくれないのだ。

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狩りたてられてユミルは大樹の下へと逃げ込む

ユグドラシル

大樹は、一貫して進撃の巨人ではある種のメタファーとして使われている。エレンが第一話で目覚めたのも木の下だし、座礁の交わる不思議な空間でも大樹が描かれている。神話の中にあるユグドラシルをモチーフにしているといわれている。この大樹の内部にある泉に落ちたユミルはここで命を落とすことになるかと思われたが、ここでユミルが何かと接触した。それは何かの無機生物のようでもあり、ムカデのようでもある。この生物がユミルと融合することで、ユミルは始祖の巨人として生まれ変わった!

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ここではユミルの不幸は終わらなかった。ユミルには選択肢もあったはずである。ユミルは巨人の力を使って奴隷の立場から逃げ出すことも、村の人々を奴隷から解放することもできたはずだ。だが、ユミルのとった選択肢はフリッツ王に隷属し、フリッツ王の征服に協力することだった。なぜユミルは逃げなかったのか?ユミルが元の村でも奴隷だったなら村の人々を助けなかったのは理解できる。救うべき家族もいなかったのだろう。そして、他の国に行く選択肢もなかった。ユミルは誰かに必要とされる必要があったのだ。たとえ相手は自分を奴隷としたフリッツ王であったとしても。

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成長したユミル

「わが奴隷ユミル。お前は良く働いた。道を開き、荒れ地を耕し、峠に橋をかけた。わが部族エルディアはずいぶんと大きくなった。褒美だ。われの子種をくれてやる。マーレを滅ぼせ!」

ユミルの巨人の力で、フリッツ王の国は大きくなり、ユミルも子どもを作り母となった。しかし、ユミルの表情は描かれない。無表情のままである。ある時、暗殺されそうになったフリッツ王をユミルが身を挺してかばい、槍を体が貫いてしまう。ここまでしてフリッツ王につくすユミルだが報われることにはならなかった。フリッツ王はユミルを奴隷としかみておらず、愛情など何もないのだった。

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「何をしておる?お前が槍ごときで死なぬことはわかっておる。わが奴隷ユミルよ」

そして、ユミルが死ぬとフリッツ王は、巨人の力を継承し利用し続けるために恐ろしい行為を行う。ユミルの体を切断し娘たちに喰わせたのだ!

「喰え、娘たちよ!何としてでもユミルの力を引き継ぐのだ!ユミルの体をすべて食い尽くすのせ!マリア、ローゼ、シーナ!」

恐ろしいフリッツ王の行いは、ユミルの民に呪いをかける。長い歴史を通して巨人の力をめぐって殺し合い、いさかいあう歴史を積み重ねることになる。

「娘たちよ、子を産み増やし続けよ!ユミルの血を絶やしてはならん。娘が死ねば、背骨を孫にとらせよ。孫が死ねば、その背骨は子から子へ!」

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喰われることで継承する巨人の力を得たことでユミルはこの世界で一人で巨人を作ることになる

ユミルはたった一人で巨人を作り続ける。フリッツ王が願った巨人による支配を維持するために。

「我が後生においても、我がエルディアはこの世の大地を巨体で支配し我が巨人は永久に君臨し続ける。わが世が尽きぬかぎり永遠に!」

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エレンはユミルを抱きかかえて伝える。「俺がこの世界を終わらせてやる」

「終わりだ!!俺がこの世を終わらせてやる!!俺に力を貸せ!!お前は奴隷じゃない!!神でもない!!ただの人だ!!誰にも従わなくていい!!お前が決めていい!!決めるのはお前だ!!お前が選べ!!永遠にここにいるか終わらせるか!」

「エレン、やめろ!何をする気だ!何をしている?ユミル!俺の命令に従え!すべてのユミルの民から生殖能力を奪え!いますぐやれ!ユミル!俺は王家の血を引くものだ!」

エレンはユミルの苦悩をわかっていた。奴隷としてしか生きられなかったユミル。エレンはユミルは奴隷でも神でもないと認める。人として認めてあげたいエレン。そのことがユミルの無表情をやぶり、涙を流させる。ようやく、ユミルに感情が戻ってきた。しかし、ジークはユミルを奴隷としか認識していなかった。ユミルはエレンの願いをかなえる。

「俺をここまで導いたのは、お前なのか?待っていたんだろう?ずっと?二千年前から誰かを」

エレンを導いたのはユミルだったのか?エレンに記憶をみせて、自らを救うように仕向けた者の正体はユミルだったのだ!!ここでサブタイトル「二千年前の君から」と物語の第一話のサブタイトル「二千年後の君へ」の意味が完成する。これはユミルからエレンへのメッセージの事だったのだ。ユミルは二千年前の人物だから。

「現在公開可能な情報」に記述されている巨人の起源は「伝承によれば、始祖ユミルは「何か」と接触したことで巨人の力を得たとされている。、、だが、全ての始まりとされる「何か」の正体は未だ明らかになっていない。人に寄生する病原体なのか、人に成り代わった別の生物なのか、それとも、始祖ユミルを憂い力を与えた神なのか。」となっており明確になっていない。

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エレンは始祖の巨人の力を手に入れた!!

始祖の巨人のような姿に変身したエレンは、壁をすべて破壊する!!閉じ込められていた超大型巨人はすべて姿を現した!エレンはさらに巨大なムカデのような巨人となって歩み始めた!

アルミンはエレンが勝ったと思うが、壁が破壊された様子をみて事態がおかしいと気づく。

「これは!ミカサ!ウォールマリアの壁まで崩壊している!マーレの連合軍をつぶすだけならこんなに必要ないよ!シガンシナ区外壁だけで十分だ。壁を失ってまで攻撃するなんて!」

そこへエレンの声がすべてのユミルの民の頭の中へ響き渡る!!

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すべてのユミルの民があの空間へ

「すべてのユミルの民に告ぐ。俺の名はエレン・イエーガー。始祖の巨人の力を介し、すべてのユミルの民へ話しかけている。パラディ島にあるのすべての壁の硬質化が解かれ、その中に埋められていたすべての巨人は歩み始めた。俺の目的は俺の生まれ育ったパラディ島の人々を守ることにある。しかし世界はパラディ島の人々が死滅することを望み、この島のみならず、すべてのユミルの民が殺されつくすまで止まらないだろう。俺はその望みを拒む。壁の巨人はこの島の外にあるすべての地表を踏み鳴らす。そこにある命をこの世から駆逐するまで」

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エレンは地ならしを発動した!!すべての地表を踏み鳴らすために!!