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進撃の巨人 The Final Season Part 2 第85話「裏切り者」 解説と考察。世界を生かすために殺す。矛盾と裏切りと暴力と


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進撃の巨人 The Final Season Part 2第84話「終末の夜」 解説と考察。虐殺はダメだ!!!これを肯定する理由があってたまるか!!! - アニメ猫のアニメ日記

 

屋根の上にまでイエーガー派の見張りが雷装を持って警備している。これはハンジの予想を超えてのフロックのすばやい対応だった。しかしフロックは飛行艇を破壊していない。フロックはミカサ達が裏切ったことに確信が持てないのだろう。そしてアズマビト達の飛行術や操船術の技術が欲しいため、ヒィズル国の技術者を押さえようと考えていた。こうなると、イエーガー派のメンバーと戦って飛行艇を獲得しないといけない。

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アニはイエーガー派を一瞬で皆殺しにすればいいと考えたが、アルミン達はかつての仲間を殺すことには躊躇せざるおえない。

第一、そういうわけにはいかない事情があった。ピークはこのことを察していた。オニャンコポンが説明する。飛行艇の操縦はオニャンコポンがなんとかできるが、飛行艇の翼を広げ、飛べるように整備するためにはアズマビトの整備士の力が必要だ。彼らがフロック達によって殺されないようにしないことには飛行艇は使えるようにならない。

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つまり飛行艇で港から飛び立っていくためには、クルーガー派と戦いつつ、キヨミ様達アズマビトを殺されることなく開放し、飛行艇を奪う。という困難なミッションを実行しなければならない。

このような困難な条件の下、いよいよミカサ達は仲間だった者達と戦う必要が出てきた。

しかし、ジャンはイエーガー派からも死傷者を出したくない。アニはアルミンらに覚悟を決めさせるために、アルミンに問いかける。そのような都合のいい作戦があるのか?教えて?と。かつてはアニの正体が巨人であることを暴くために作戦を立案し、実行したアルミンだったが今回はそのような都合のいい作戦があるのか?頭脳明晰なピークは即座に否定した。

「そんな作戦はない」

コニーは耐えられなくなった。

「どうして島の連中を皆殺しなんだよ?」「そうね。そもそもあんたたちにはこんなこと付き合う義理なんかない。こんな選択を突き付けられることも。あんた達ならあの日、壁を壊すことを選ばなかっただろうね。私達と違って」

その瞬間、ライナーは気が付いた。

エレンの言葉だ。

「やっぱり俺はお前と同じだ」「あれはそういうことか、、」

エレンはライナーと同じなのだ。アルミン達なら壁を壊さなかった。皆殺しの方法を選ぶことはないのだ。だが、ライナー達は壁を破壊した。ライナーは理解したことでアルミン達に決断を迫ることはしなくてもよいことにした。彼らに壁を壊させるわけにはいかない。ライナーはアルミン達は参加せずに見ているだけにしてくれと、手出しはするなと言った。

だが、巨人が暴れるだけではおそらく飛行艇を奪取するのは難しいだろう。

ハンジも見ているだけのつもりなどない。ハンジは既にイエーガー派を四人殺している。仲間を殺す覚悟はできている。そしてもう時間もない。ハンジは沖に大量の蒸気を発しながら進む巨人を観測した。想像以上の速さで海を渡っている。急がねばならない。

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あせるマガト

そして、この状況であせったマガトは、イェレナに対して実力行使を行う。

口を鷲づかみにして土の坂にイェレナを押し付ける。力ずくでエレンが向かうであろう場所を話させるつもりだ。暴力によって死の恐怖が目覚めたのか、イェレナはまだしばらく生きて、事のなりゆきを見てみたい欲望がわいたらしい。エレンの行こうとする場所について話してもいいと言い出した。だがここで拷問をしている時間はない。飛行艇の確保が先である。マガトはガビを見て、ここは抑えることにした。ガビのような子どもの未来のために。

追い詰められたマガトは遂に、見栄も過去のしがらみも捨てて本心から頭を下げてミカサ達に頼むのだった。

「コニー、アルミン、ミカサ、ジャン、昨夜の私の態度を詫びたい。我々は、間違っていた。軽々しくも正義を語ったことだ。この後におよんでまだ自らを正当化しようと醜くもあがいた。卑劣なマーレそのものである自分自身を直視することを恐れたからだ。君達に責任はない。同じ民族という理由で過去の罪を着せられることは間違っている。ピーク、アニ、ライナー、お前たちも世界の憎しみを一身に背負ういわれはない。ただ、血に濡れたおろかな歴史を忘れることなく後世に伝える責任はある。エレン・イエーガーはすべてを消し去るつもりだ。それは許せない。愚かな行いから目をそらし続ける限り地獄は終わらない。だから、頼む、我々の愚かな行いに今だけ目をつむってくれ」

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当初は、マーレのお題目でしか語れなかったマガトだったが現実を見せつけられ、追い詰められてやっと本当の言葉で語りだした。頭を下げて頼むマガト。マーレの行いの愚かさを認める言葉を吐き出した。それを聞いたためだろうか、イェレナは冷たくマガトの言葉を見ている。陰謀と皮肉が大好きなイェレナだがマガトの言葉は心を打っただろうか?マーレにいたころはこのような許しの言葉を聞くことはなかったのかもしれない。アルミンはこの言葉で決心した。

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「断ります。手を汚すことなく正しくあろうとするなんて」

海岸に建てられた建物の中で、うれしそうに巨人が発する蒸気について語るフロック。

この蒸気はフロックには新しい時代について知らせる信号だが、ヒィヅル国にとっては滅びののろしだ。フロックはキヨミ様達の技術がパラディ島に貢献するように説得しようというのだ。だが、キヨミ様は、まったくフロックの考えには同意しない。これでパラディ島は安全にならないだろうと。フロックはキヨミ様が脅しにはのらないということがわかると、技術はあきらめて始末することに切り替える。

「ご忠告痛み入ります。確かにそのような気がしてきました。大事なのは身の程をわきまえることでしょう」

飛行艇も航海術の技術もあきらめてしまえば、不安の種は消し去れる。

「フロック、どこにいる!!アズマビトはどこだ!!」「アルミン!いままでどこにいた?何を騒いでいる?」「車力の巨人を追っていたんだよ!やつら鎧と一緒だ!海を泳いで逃げた!はやくしないと逃げられる!今すぐ飛行艇が必要だ!いそいでアズマビトに飛べるようにさせろ!」

そこへぎりぎり、アルミンが間に合った。アルミンとコニーは馬でやってきて、車力の巨人を追っていたという偽りのストーリーを話しだす。鎧と車力が海を泳いで逃げたと。だから飛行艇が必要だと。即席のウソである。とりあえず、フロックはわけがわからず呆然と聞いている。とりあえずこれで、フロックをパスして、コニーとアルミンは飛行艇のある波止場の先に言って飛行艇を確保しにいくことにする。

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だが、飛行艇には見張りが二人ついている。ダズとサムエルだ。

かつては訓練兵として一緒に戦った仲間達だ。アルミンは飛行艇を使いたいという。だが、アルミン達の裏切りは疑われていた。そして仲間だからこそ、アルミン達がエレンを止めようとするのではないかとバレていた。飛行艇にはダイナマイトが巻き付けられ起爆装置が付いている。いつでも爆破できるようにするためだ。アルミンのウソで、疑いながらも起爆装置を外すが、やはり裏切りを疑われている。港の空には鳥たちが飛んで人間たちを眺めている。

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一方、フロックは腑に落ちなかった。

なぜアルミンは機関車を使わず馬に乗ってやってきたのか?疑問が解けないフロックは念のためにアズマビトの整備士たちを始末しておこうと考えた。そうなれば、飛行艇は飛び立てなくなる。キヨミ様はそれだけは阻止しようと力ずくに訴えた。フロックを後ろから片腕を決めて抑え込んだ!

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キヨミ様強い

響き渡る銃声。キヨミ様は格闘技の心得があるのかもしれない。フロックの部下がキヨミ様を押さえようとするところにミカサが窓から飛び込んで、フロックの部下を叩きのめす。フロックは立体起動で窓から逃れた!

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「敵襲!ミカサ!アルミン!コニーはエルディアを裏切った!ころせー!」

窓からイエーガー派が雷装をぶち込んでくるが、危機一髪でキヨミ様らアズマビト一行を階下へと誘導する。だが、下にもイエーガー派が待ち受けていた。いよいよミカサが元仲間だったイエーガー派を殺すことになりそうだったが、ハンジとマガトが立ちふさがるイエーガー派を撃ち殺してしまった。ハンジは殺すことはできる。

銃声が響き渡り、フロックが大声で叫んだことで、アルミンも作戦が失敗したことを知る。

ダズも飛行艇を爆破しなければならないために起爆装置を取り付け始めた。アルミンは銃弾で打たれた。やっかいなのはアルミンだし、巨人なので死なないということだろう。

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「動くな!」「サムエル、、」「ダズ、はやく飛行艇を爆破しろ、やはくやれ!」「サムエル、なあ」「裏切ったんだろう?コニー?一緒に土地を増やして、肉を食おうって、言ったのによお」

ダズはまだ、仲間が裏切ったことを信じられないし、簡単に殺すつもりにはなれない。それは動作を鈍らせる。サムエルの表情はくやしさでいっぱいだ。信頼していたはずの仲間が裏切ったことがまだ受け入れられない。

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ハンジらは一時、地下に逃れた。ライナー達が暴れやすくするためだ。

そして、やはり戦いが起こってしまったことで、控えていたメンバーも動き出した。

ライナーとアニは立体起動で海の側に飛び出してそのまま巨人化!二人が同時に巨人へと変身するのは見ごたえがある。

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遠くから眺めていたオニャンコポンが落胆の声を上げる。

「やっぱりだめか。なぜこうなるんだ」

イェレナが暴力を肯定する発言をする。

「人から暴力を奪うことはできないよ。ねえ、兵長」

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できれば、ダマして飛行艇を奪いたかったが、やはり始まってしまった。進撃の巨人の世界は残酷で現実的で暴力的だ。イェレナの言葉を聞きながら、冷たい目で様子を眺めるリヴァイはどうしようもない人類を見つめているとも見える。

女型の巨人と鎧の巨人に変身したアニとライナーはイエーガー派の兵士を殺すことには躊躇がなく迷いなく戦える。

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アルミンが打たれて倒れているが、コニーがサムエルと拳銃を間にして押さえ合っている。ダズの起動装置の準備は進まない。驚きで手が震えているのかもしれない。

「ダズ、爆破しろ!」

アルミンが傷ついた体でダズにおおいかぶさる。アルミンは口を撃たれたために発言ができず、話し合いも説得もできなくなってしまった。ダズは涙が流れている。いままで仲間だと思った者が敵になり戦うことが信じられないのだ。ダズはアルミンの額に銃口を突き付ける。しかし引き金を引けない。アルミンは目つきで語るしかない。サムエルが叫ぶ。

「裏切者!なんでだよ!俺たちは仲間じゃないのかよお!」「お前たちは仲間だよ!でも、俺は!」

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コニーは母親に誓ったのだ、いい兵士になると。みんなのために働くと。しかし、そのための初仕事がこれである。ベルベルトのセリフが頭に浮かんだ。

「誰かがやらなくちゃいけないんだ」

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コニーがついに銃を奪い、二人を射殺した。

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コニーは叫んで運命を呪った。進撃の巨人の残酷が際立った回だ。