アニメ猫のアニメ日記

アニメに関しての情報を書き連ねていきます。

2022年冬期(1-3月期)アニメ 総合評価 


今期、2022年冬期(1-3月期)アニメの私的な総合評価について、推奨レベルで語ります。レベルは五段階で、☆5が最高、☆1が最低です。

☆☆☆☆☆ 鬼滅の刃 遊郭編

無限列車編で猗窩座との戦いに敗れ、煉獄を失った鬼殺隊。悲しみを抱えながらも、次の任務として音柱・宇随天元とかまぼこ隊が吉原・遊郭に潜入して鬼を探索する。激烈な戦いの末、上弦の鬼・妓夫太郎と堕姫を葬った鬼殺隊だったが、鬼殺隊側も激しく傷を負う。遊郭の様子などを美しい背景で描かれており、激しいバトルシーンを流麗な作画で描いて世界の話題をさらった。宇随や宇随の嫁達、そして鬼達の事情なども描かれて、単純な勧善懲悪とは違うストーリー展開もよかった。バトルシーンのすごさだけではなく人間性を描く意味でもアニメ史に残るレベルの名作として歴史に残るだろう。

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☆☆☆☆☆ その着せ替え人形は恋をする

コスプレ大好きな少女・海夢と人形師になる事が夢の五条のエッチで純情なドキドキハラハラのコスプレラブコメディ。自分の憧れのキャラになりきりたい海夢の要望によって、五条は海夢のためにコスプレ衣装を制作することになる。五条は海夢とコスプレ衣装の制作を通じて、いままで別の世界の人間だと思っていた海夢を知っていく。そして海夢は徐々に五条が好きになっていく。エッチなコスプレ衣装作成やら羞恥心がわけのわからない海夢のキャラがとても愉快である。各キャラの性格や演出がとてもおもしろくて、作画もきれい。コスプレに関する知識も身に付く?ついでにいうと、原作マンガも大きく売れ行きを伸ばし、かつ雛人形の売上げも大幅増となり、経済効果も抜群の2022年冬期の覇権アニメとなった。第2期製作が楽しみだが、第1期のデキが良すぎて第2期がこれを超えられるか。

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☆☆☆☆☆ 進撃の巨人 The Final Season Part 2

第76話から第86話まで。パート2が終了し、パート3で完結する。物語がクライマックスへ向かって進行中。なんと10年かかって伏線を回収するという偉業?を成し遂げた。マーレがパラディ島に奇襲をかけ、エレンとジークの接触によって始祖の巨人の力を得たエレンは、地ならしを発動する。そして明かされた始祖ユミルの秘密。2000年前からのユミルの苦しみを止めるためエレンは導かれた。アギトの巨人を継承したファルコ。人々のために戦うキース。復活したアニ。かつて敵同士だった者達が世界を救うために、協力して行動する。多くの人々の運命が交錯する。エレンの真意はどこにあるのか?ミカサは愛する者を殺せるのか?多くの伏線が回収され、人々の思いが描かれた。

制作アニメスタジオがMAPPAとなって、作画は安定し、キャラはきれいに描かれるようになった。また、バトルシーンもさすがのアクションのマッパといえるデキの良さ。原作の細かい設定や伏線も、きちんと再現し、かつ物語のわかりにくい部分はアニメオリジナル部分で補完していくというアニメ化の理想といえる制作方針だった。見事というしかない。

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☆☆☆☆ プリンセスコネクト!Re:Dive season 2

手書きに拘って細かい作画をしながらCGも使っている金城監督作品。シーズン1では明かされなかった秘密がシーズン2で明かされることを期待したが、さほどの内容的な進展はなくちょっと肩透かしだった。見どころは、美食殿をはじめとした各ギルドメンバー達の交流や世界の謎をみて解き明かされていく所だろうか。シーズン2は作画にはより磨きがかかったような切れ味で、動きが細かくなった。監督のコメ作りとかおにぎりに対する拘りもおもしろかった。

☆☆☆☆ ヴァニタスの手記(第2クール)

第二クールは、ジェヴォーダンの森でのクロエ・ダブシェのお話編と、パリに戻ってのヴァニタスの弟分のミハイルのお話編のふたつのエピソードが語られた。クロエ編では、ジャンヌの生い立ちが描かれ、ジャンヌとヴァニタスがより親密になって恋仲と言っていい状態になった。ヴァニタスはまさかの恋煩いに落ち込んだ。ジャンヌは完全に恋する乙女になっていった。クロエとジャン・ジャック、アストルフォなどのキャラクターのエピソードも語られた。ミハイル編では、謎だったヴァニタスの生い立ちがついに明かされた。ヴァニタスはドクター・モローの人体実験に供されていたが、その時に同室だったのがミハイルでありミハイルもまたドクター・モローの実験の犠牲者だった。彼らを救ったのが蒼月の吸血鬼だ。ミハイルもまた、ヴァニタスと同じような「ヴァニタスの書」を持ち、吸血鬼の真名を崩して吸血鬼をコントールする能力を持っていた。

しっかりとしたキャラクター描写ときれいな作画で見ていて飽きない。ヴァニタスとジャンヌの純情なラブコメ、ヴァニタスとノエの微妙な友情、吸血鬼やシャスール達の運命や人間関係などが見どころだろうか。

「ヴァニタスの手記」 ダークファンタジーとエロラブコメが一緒の作品。吸血鬼を救う設定が新しい - アニメ猫のアニメ日記

☆☆☆☆ ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン

ジョジョの奇妙な冒険 第6部。空条承太郎の娘の空条徐倫が主人公。アメリカ・フロリダにある刑務所を舞台に、スタンドバトルを展開する。計略によって無実の罪で刑務所に入れられた徐倫だったが、父親の承太郎を救うためにホワイトスネイクと戦う。作画がきれいに描かれており、動画も適切に動いており動きが丁寧。原作に忠実に映像化を心掛けていると思う。ジョジョファンには楽しめるアニメだろう。まだ前半クールのみ放映で、後半は来年の放映らしい。

☆☆☆☆ ハコヅメ~交番女子の逆襲~

交番女子を主人公にすえた、警察官の日常をコミカルに、そしてシニカルに描く傑作警察コメディ。日和見にがんばらないで過ごしたいのに、なぜか全力で働らかされてしまう新人婦人警官の河合が警察組織のブラックさにめげそうになりながらもがんばる姿が、なぜか物悲しい。警察が舞台だが、日本のブラック企業を代表しているようで、多くの人の共感が得られていたようだ。

☆☆☆☆ 王様ランキング

漫画投稿サイトからスタートしたWebマンガが原作。絵本のような単純化された絵柄ながら、結構エグい展開もあるし、泣かせる場面もたくさんあった。王子ではあるが、生まれながらに耳が聞こえず、口もきけない、そして力もない少年ボッジが、冒険をしたり、友情を育んだりしながら成長して活躍する。ボッジを助けるサブキャラがたくさんいて、サブキャラの魅力も見どころか。また、ボッス王の無茶なほどの怪力っぷりとか、マンガらしいバカバカしいまでの表現が随所にみられ、みていて愉快だった。お話は終盤が駆け足っぽかったが、2クールでなんとかうまくまとまったと思う。第二期の制作には原作が足りないかな。

☆☆☆☆ 天才王子の赤字国家再生術〜そうだ、売国しよう〜

はからずも赤字弱小国家ナトラの再建をやらなければいけなくなった王子ウェイン。本心では別に国家の再建はやりたくないのだが、とにかくやってみると実行する作戦という作戦がことごとくうまくってしまうというラノベっぽい御都合主義展開で物語が進む。美少女の相棒・ニニムとの掛け合いやら、各国の首脳との駆け引きのおもしろさが物語を盛り上げている。ウェインや各国のいろいろな背景など、現在のヨーロッパあたりの権謀術数を巡らす様子やらが戯画化されたおもしろさを醸し出す。アニメの動画枚数は少ないようで動きはそんなにないが、キャラがおもしろいかな。やなぎなぎ×THE SIXTH LIEによるオープニングテーマ「LEVEL」もよかった。

☆☆☆ 86-エイティシックス-

最後の2話分が、予定より三か月遅れて放映された。制作上の都合ということだったが、総集編も一回あったせいか、人気が落ちたのが残念。第一話でこの作品独特の用語がよくわからない部分があったりしたが、物語が進むにつれて設定が徐々に明らかになっていく過程はおもしろい。個人的には1クール目までの盛り上がりが良かった。しかし、2クール目からの流れがまったく変わってしまった。2クール目のキャラの掘り下げがいまいちだったか。2クール目でレーナが登場しなくなったのも、印象が薄くなった。三か月たっての最終2話のでの展開は、ご都合主義だったがまあよかった。

☆☆☆ 錆喰いビスコ

ラノベ小説が原作だが、ラノベには珍しい少年マンガ風熱血系の設定や展開。大変動で滅びてしまい生態系も乱れに乱れた後の日本が舞台。サビという病気が各地を襲い、人々を蝕んでいたが、この病気の特効薬を作ろうとする、キノコ守りでお尋ね者のビスコと、医者のミロが手を組んで、冒険の旅に出る。設定的にはロードムービーっぽいのだが、その要素はいまいち描かれなかったか。野生児のビスコや医者のミロのキャラ、キノコ守りのキノコを使った戦い方や奇妙な生態系など、アニメらしい自由な設定がおもしろい。終盤のストーリーがいまいちなのと、各キャラの掘り下げがあまりないのが残念。

☆☆☆ 明日ちゃんのセーラー服

漫画が原作。セーラー服が大好きで、セーラー服愛にあふれた作品。主人公の明日小路が私立の中学校に入学するところから、中学校での学友との交流などを明るく肯定的に描く青春物。青春物というのがどのような内容なのか放映前には、比較しにくかったが、アニメ的には各キャラクターの人気でひっぱるアイドル的なアニメといえるだろうか。主人公をはじめ、各キャラの描写はきれいに丁寧に時にエロチックに、描かれていて、スタッフの思い入れがエロ含めていろいろうかがえる。登場人物達は嫌な事や困難に立ち向かうといったことはなく、女子同士の恋愛のような百合物というほどの部分もないので、やはりアイドル的なアニメといえるかな。

☆☆☆ 失格紋の最強賢者

ラノベ小説が原作をアニメ化。原作のサブタイトルは「〜世界最強の賢者が更に強くなるために転生しました〜」であり、そのまま基本設定を説明している。世界最強だった賢者がもっと強くなるために、転生するところから物語が始まる。転生して、少年として生まれ変わった時には前の時代から数百年が過ぎていただけではなく、魔族が人類を侵略しようとしており、魔法の技術は衰退していた。主人公・マティアスは最初から最強レベルなので戦闘でハラハラするということは少ない。マティアスの仲間のルリイとアルマそしてドラゴンのイリスの可愛さなどがウリだろうか。女の子キャラは増えないのでハーレム要素は少なめ。当初、説明される魔法理論など複雑そうであるが、基本はマティアスがきちんと説明してくれる。カワイイキャラ達の冒険と活躍が見どころ。物語の後半は絵があまり動かなくなっていったので、作画スケジュールなどきつかったのかもしれない。

☆☆☆ 賢者の弟子を名乗る賢者

ラノベ小説が原作。第一話で、当初は老賢者だった主人公がなぜか美少女・ミラに変身してしまい、その変身後のストーリーをおよそ10数分にわたってセリフなしで描写するという冒険的な演出が話題となった。第2話以降はこのような演出はなくなり普通の異世界系アニメの演出となり、主人公ミラが召喚術や格闘術で活躍していく。一応、ゲームからログアウトできなくなったという設定はあるのだが、特にその謎を解くといった設定はあまりストーリーには関係がないようで、ゲームプレイヤーの九賢者という設定もセリフにはあるものの、あんまりストーリーには絡んでこない。ミラの可愛さと活躍、召喚される召喚獣などを楽しむアニメといえよう。

☆☆☆ リアデイルの大地にて

ラノベ小説原作。原作小説は「小説家になろう」で2010年から連載されたもの。なのでラノベとしては古参なのだがアニメ化が遅れた。事故で半身不随となり病室で長期間過ごしていた少女が主人公。ゲームの世界へと取り込まれたが、ログアウトできずに200年経ってしまった異世界での冒険譚。異世界の設定は、エルフやらドワーフなどのいまでは標準的な異世界の設定の設定なので、とまどうことはないが新しさを感じる部分も少ない。演出は基本的に明るくわかりやすく、エログロなどはないので、家族で見ていても気まずくなることはないだろう。200年間の休眠から目覚める前には、三人の子育てをやっていたり、ゲームの冒険をやっていたり、というところは描かれていなかったかな。半身不随の身から自由に冒険に出られるようになった喜びとかがあんまり描かれなかったな。

☆☆☆ 怪人開発部の黒井津さん

漫画原作。悪の秘密結社アガスティアの怪人開発部で怪人を開発している黒井津さんを中心とする悪の組織と各地のローカルな正義の味方達と戦いを描く、おバカなコメディ。日本の会社のブラックだったりホワイトだったり、しようもない所だったりをマンガチックに描いていく。開発した怪人を正義の味方と戦わせるのだが、たいてい怪人側が負けてしまう。アガスティアは、日本の企業のダメな所、部署の分け方が細かくわけがわからなかったり、ハンコを押して回らないといけなかったりと非効率な部分が残っている組織だったりする。みんなで居酒屋に行って飲み会をしたりするが、怪人達は普通の人間とは違うので、普通に過ごすことはできない。主人公の黒井津さんは限られたた予算のなかで精一杯、怪人を開発するが、やっぱり何か問題がある怪人にしかならない。正義の味方は、普段は牛丼屋のバイトをしていて、黒井津さんもよくこの牛丼屋さんを利用していてお互いの正体には気づいていないものの、ちょっといい人だと思っている。登場する正義の味方は、実在する各地のヒーローを登場させ、声優も当人が担当している。

作画が後半は乱れまくりで、かなり苦しい制作現場だったのかもしれない。ギャグアニメとしてはあんまり尖っていないが、ほのぼのっぽいエピソードや、企業戦士に共感されそうな内容もあっておもしろいかもしれない。

☆☆☆ 時光代理人 -LINK CLICK-

中国で大人気を取ったアニメ。日本人好みのキャラデザ、人情味あふれる展開、現代的演出、現代中国を扱った題材など注目作。画面サイズが横長の映画サイズ。原画、動画、演出などいままでの中国アニメに比較してレベルが高い。監督・脚本は中国人だが、スタッフにはちらほら日本人ぽい名前もあるので純正の中国アニメともいえないか。サスペンス調の展開が人気ありそう。ストーリー的には完結していないまま第1期終了。個人的には横長の画面サイズを生かしきれてない構図設計が残念だった。がんばってはいたが。

☆☆☆ 異世界美少女受肉おじさんと

ラノベ小説原作。異世界に召喚されるタイプのお話。異世界召喚物なのだが、二人召喚されるうちの一人が美少女に性転換されるという設定が新しい。一歩間違うと友情がBL物になってしまう危うい関係のラブコメっぽいがラブコメじゃないギャグアニメ。ギャグは一本調子になりそうだったが、なんとかまとまっていた。メインキャラより、サブキャラの方がおもしろいキャラがいたような気がする。キャラの掘り下げがもう少しあってもよかった。また、もう少し笑える要素があったらギャグアニメとしておもしろかった。

☆☆ ドールズフロントライン

ゲームのアニメ化。戦闘人形の美少女達が人類に反抗する人形達と戦う。シリーズ構成に倉田英之。戦闘専用の人形だから別に美少女である必要はなさそうだがそうなっていて、名前は基本的に銃の名前という振り切った設定。メインのキャラクターになるAR戦隊は人間的感情があるということになっており、戦闘人形の感情表現が描かれている。ストーリーは人間側の、グリフィン人形と、人類に反抗した鉄血人形達のとの戦闘がメインとなるが、鉄血人形がなぜ人類に反抗したのか、鉄血人形がどこで生産されているのかなどの、細かい描写は描かれなかった。ミリタリー好きな人にはいいかもしれない作品。

☆☆ ありふれた職業で世界最強 2nd season

ラノベ小説のアニメ化、第2期。第2期になって制作アニメスタジオがstudioMOTHERとなり、CG作画のレベルが良くなった。第1期は、主人公・ハジメがいじめられっ子からワイルドで強くなっていく過程が描かれたし、ワイルドギャグもあったが、第2期からはその要素は影をひそめ、ちょっとキャラが弱くなった。幼馴染キャラがハーレムに加わったが、あんまり活躍しなかった。誘拐された幼女を親元に返す以外のタスクがいまいちよくわからない。主人公の目的とかはあったのだろうか?同級生達の目的や存在意義というかストーリーへの絡み方もよくわからないまま終わった。

☆☆ スローループ

いわゆるキララ系マンガ原作。釣りと家族を描くアニメ。片親家庭同士が再婚して、連れ子同士が姉妹になる。釣りのうんちくを語るのはいいんだけど、キララアニメにしてはいまいちうまい雰囲気を作れていなかったと思う。小春のキャラがいまいちだったせいかだろうか。

☆☆ 終末のハーレム

エロなストーリー展開で話題となった漫画が原作。第1話が放送された後に、あまりに過激な原作マンガから表現上の問題があったのか、第2話以降の放送がしばらく延期された。その後の第2話以降は、画面には修正用の黒塗りがほどこされたテレビ放映版と、Web配信版と、無修正版の三つのバーションで放映された。基本的にはマンガ原作をアニメ化しているようだが、原作マンガ自体がストーリー展開よりもエロ表現に力を入れているので、お話は進まない。本来なら、人類が作った殺人ウイルスと戦うという時節柄、とてもおもしろい題材なのだが、なかなか切り込むのは難しかったかもしれない。エロ表現も、表現の限界に挑戦する、というほどのものではなかったみたいだ。

☆☆ 平家物語

監督が山田尚子、脚本が吉田玲子、キャラクター原案が高野文子、アニメ制作スタジオがサイエンスSARUと一流のスタッフを集めた誰もが知っている日本文学の古典「平家物語」をアニメ化。味わい深いキャラデザ、キレイな背景や舞台の描画、などが見どころか。物語の道化回しとなるビワ法師の役どころを女の子のビワにして、未来が見えるという設定が新しい。ビワは未来は見えるがその他の超能力はなく、現状を変更することができず、もどかしさを感じることになる。ストーリーは基本的には平家物語の史実通りに進む。ビワの設定以外はあんまりオリジナル要素は少ないか。山田尚子監督のジョンダー観や、山田玲子の世界賛美調など、いつもの制作スタイルは変わっていないが、平家物語という題材にはいまいち合っていなかったかもしれない。平家物語は平家が滅びていく虚しさや悲しさを描く物語のはずだが、今回のスタッフは「世界は美しい」ことを描きたかったようだ。

☆☆ 最遊記RELOAD -ZEROIN-

最遊記シリーズの一作。ヤンキーぽい三蔵と子どもっぽい孫悟空。マカロニウエスタンや西部劇のような世界観。お話はそこそこ安定しているし、絵柄も安定している。世界観が好きな人にはいいかも。

☆☆ 現実主義勇者の王国再建記 第二部

人気シリーズの第2期。ラノベ小説原作。タイトルそのままに異世界に召喚された主人公・ソーマが、落ちぶれている王国の再建で四苦八苦する様子を描く。第1期でのキャラはそのままで、国内の内戦の様子などを描くが、全体的に動画の枚数が少なく、動きのあるシーンが少ない。結果的に止め絵的な部分が多くなり、キャラが対面で会話しているシーンが増えていた。ほぼセリフだけで完結するような回もあり、アニメ的な魅力には乏しい。ストーリーも、異世界に現代のアイデアを導入するだけっぽいのが多いので、ちょっと退屈だった。ラスト回で大きな秘密が明かされるのだが、これも対面形式のセリフが紙芝居的に説明されるのでちょっと惜しい。プロットは悪くないので、ドラマチックにストーリーを運ぶ脚色や構成の工夫が欲しかった。

☆☆ 薔薇王の葬列

マンガ原作。Wikipedaによると、原作マンガはウィリアム・シェイクスピアの史劇「ヘンリー六世」および「リチャード三世」を原案とした作品で月刊プリンセスに連載された。史実におけるリチャード三世は、このアニメの設定とはいくつかの点で異なっている。遺伝学的解析によればリチャード三世は青い目で金髪の可能性が高いがアニメでは違った設定となっている。ストーリーは15世紀のイングランドで、赤い薔薇のランカスター家と白い薔薇のヨーク家の争いの薔薇戦争を舞台として、リチャード三世の苦悩を描く。男でもあり女でもある二つの性を持つ体のリチャードは、その特異な体ゆえに母からも愛されず、男として生きることに苦悩を抱えていた。

特異な体ゆえに愛を得る事ができないリチャードの不幸が繰り返して描かれる。リチャードの愛する人との間に愛を成就することがかなわない悲哀がみどころか。歴史的に有名な薔薇戦争を描いたということでヨーロッパでは人気がある作品。まだ完結ではなく、前半クールが終了。

☆ TRIBE NINE(トライブナイン)

ゲームとのメディアミックス作品。エクストリーム野球という野球をベースにしたゲームによる戦いや勢力争いを描く。ここでのエクストリーム野球は野球をベースにしたものではあるが、実際は完全にバトル物と言った方がいい。ストーリー的に何を描きたいのか焦点がみえにくい。

☆ CUE!

ゲーム原作。ゲームが原作なのだが、連動するはずのソシャゲーのサービスが停止してしまった。ゲームは声優の育成するもので、アニメでも声優としての活動をする。アニメも十人以上の声優のタマゴもしくは新人声優が声優の仕事で出会う困難を解決しながら働いていく様子を描いていく。声優事務所に所属してレッスンを受けるところから物語が始めるが、いきなりオーディションを受けることができるようになったりする。オーディションを受けるだけでもかなりラッキーだと思うが、いきなり受かって役を貰えるとか声優業界の競争率の厳しさを考えると、ラッキーを越えてファンタジーに思えてしまう。実際、描かれるエピソードはリアルよりはファンタジー寄りの内容が多かった。声優業界の苦労も、アフレコ現場でのものは描かれたりした。しかし、そこに至るまでのもっといろいろとあるはずの苦労はあんまり描かれず、リアルさがないので、いまいち共感ができなかったな。

☆ 東京24区

東京湾に作られた24番目の新しい行政区画24区を舞台にして、主人公三人の活躍を描く。初回が一時間スペシャルで、三人が超人化して活躍するヒーロー物なのか、と思わせたがそうでもなかった。途中で、放映中止回があったり再放送があったりして、制作が間に合わない所があったらしい。都市サスペンス的展開や、SFホラー的展開や、人情噺やら、いろいろな要素を詰め込もうとしているのはわかるが、結局、何が描きたかったかは伝わらない状態ではなかったろうか。

☆ 殺し愛

マンガ原作。殺し屋達が織りなすサスペンスとうたっている相方のシャトーは明確な殺し屋業を生業としていない。全体的にストーリーの進展が遅く、ストーリー構成もわかりにくく、何を描いているのかわかりにくい。ラブサスペンスをやりたかったのだろうが、どちらかというとラブコメとして描いた方が面白かったのではないだろうか。

☆ オリエント

マンガ原作。仮想世界のサムライが刀バトルするアクションアニメ。侍が出てくるのだが、日本の歴史とは違う世界で、バイクに乗っていたり、竜が出てきたり、と異世界物に近いか。ストーリー展開に唐突かなと思う物が多く、ちょっと感情移入がしにくかった。

総評

ラノベ小説原作作品が増えて、安定した人気を得る作品が多かった。基本的な異世界設定、エルフが居るとか、怪物を倒すとドロップアイテムがあるとか、などはどの作品も共通するような設定が多くて、とまどうようなことは少ないが、逆に新しい印象が少ない。異世界物はラノベ小説などでも多量に生産されており、そろそろ飽きられる頃ではないだろうか?性転換物、みたいな設定が、「賢者の弟子を名乗る賢者」と「異世界美少女受肉おじさんと」の二つがあった。小説原作の場合は、もう少し人物の掘り下げがあってもいいと思うが、これが少ないので、アニメになっても何かが物足りない印象になる。

このクール(2022年1-3月)では後半に、作画が乱れたり、放映延期となる作品が目立った。アニメ業界全体で作画制作が遅れたのかもしれない。

「鬼滅の刃」、「その着せ替え人形は恋をする」、「進撃の巨人」などは海外でも大人気で、それ以外にも海外で人気作品はある。日本で人気のものはおおよそ海外でも人気があるようだ。歴史物などはヨーロッパなどでも人気がある。

成功するアニメは、一貫して言えるが、ストーリー構成やキャラの設定などをしっかりと練っている。脚本にも手間をかけている。また、原作がある場合は原作をよくよく検討して、かつ必要な時にはアニメオリジナルの場面を入れる。当たり前のことなのだが、これができないと人気アニメにならない。