アニメ猫のアニメ日記

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進撃の巨人 The Final Season Part 2 第87話「人類の夜明け」 解説と考察。エレンが愛していたのはミカサか?ヒストリアか?


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進撃の巨人 The Final Season Part 2 第86話「懐古」 解説と考察。壮絶アクション。フロックの最後。マガトとキースの仕事! - アニメ猫のアニメ日記

今回、第87話で、The Final Season Part 2 は終了する。

前回はイエーガー派との壮絶な戦闘で、海を血に染めてなんとか出航したハンジ達。

ミカサは甲板から海を見ながら、エレンのことを思わずにはいられなかった。

「誰もがエレンは変わったという。私もそう思う。でもそれは違うのかもしれない」

少年で、がむしゃらに自分の自由を追求し、壁の外に憧れていたエレン。今では別人のようになってしまい、壁外人類の絶滅させるべく地ならしを実行するほどになってしまった。エレンの真意はどこにあるのか?ミカサはまったくわからないといっていい状態だった。

そして、お話はいきなり過去へと飛ぶ。

場面は港町が映し出されるが、エレンがいる。ミカサもいる。エレンはいままで着た事のないようなスーツを着ている。ミカサもいる。ミカサもきれいな格好で、スカートをはいている。ミカサは子どもの頃を除けば、スカート姿は全編を通してこの場面だけではなかろうか。貴重な姿である。

「エレンは最初から何も変わっていない。あれが本来の姿だとしたら。私はエレンの何を見ていたのだろう?」

このエレンと共に船旅をしていた時期から、ミカサはエレンの変化に気が付いて不安だったことがわかる。エレンを子ども時代から知っている幼馴染であるミカサにしても、エレンの変化がわからない。昔のエレンとは違っていく。船は港に入港していった。

船には調査兵団のメンバーがスーツを着て乗っている。服装が違うので、みんな普段とは違う雰囲気だ。彼らがこのような服装を身に着けたのは全編を通じてこの時だけだろうか。その中に死んだはずのサシャがいることから、このエピソードはサシャが死ぬ前の時点だろうとわかる。ミカサとサシャは女性の服装なのに、ハンジだけは他の男と同じスーツ姿で、あいかわらず性別不詳だ。

「本当に壁の外にも町があって、人が住んでるんだな」「壁の外とか他人の前で言うなよ」「ああ、わかってるって」「これが壁外大陸、そして私達が壁外の地を踏む初の壁内人類」「だから言うなって」「これこそが元より我々に課せられた仕事といえる。調査開始だ」

正確に言うなら、100年以前にもパラディ島は人の交渉があったので、100年ぶりの大陸というべきだが、そのような歴史についてまだくわしくないサシャにとっては初の壁内人類という表現はその通りなのだろう。どうやら調査兵団のメンバーはマーレの港に身分を隠して潜入するようだ。初めてみる壁の外の街の様子に、彼らは驚きを隠すのを忘れてしまいそうである。悪魔の島からきたということがバレてしまうと大事になるので、隠さないといけないのだが、どうみても潜入調査には向かないメンバーだ。

船が接岸し、積み荷と乗客を下し、調査兵団のメンバーも下船して、周囲にある風物に驚いていると、オニャンコポンが、メンバーを出迎えていた。

「みなさん、マーレ大陸へようこそ」

この時点では、パラディ島の民はマーレの大陸から交渉を断って100年程度経過しているので、島の外の文化に触れた者はおらず、何を見ても珍しい。マーレの街には馬車の代わりに自動車も走り、アイスクリームも売っている。どちらのパラディ島にはなかった風物だ。港には人と物があふれ活気にあふれている。

「すごい人の数。ねえ、エレン、何があるかわからないから、私のそばを離れないで。エレン?」「何をボンヤリしているんだよ、エレン、僕達、外の世界にいるんだよ?」「ん、これが海の向こう側、、なんだよな」

ミカサがエレンを心配するセリフは自分から離れてしまおうとするエレンに対する願いの言葉の意味もあるのだろう。エレンは茫洋として「何か」を見つめているようだ。未来の記憶を見てきたエレンは、この町の運命もまた知っているが故の、セリフだろうか。エレンは未来で殺戮と破壊をする予定となっている街を見つめずにはいられないのだ。

食いしん坊のサシャが、出店のアイスクリームを我慢しきれずに注文して食べてみた。描かれたサシャの表情がおいしいといっている。それを見たコニーとジャンがたまらず注文する。もうみんな我慢できなくなり、生まれて初めてのアイスクリーム祭りだ。ミカサもアイスクリームのおいしさに顔を赤らめている。エレンはアイスクリームを食べないのか?リヴァイは子どもと間違われてしまったが、目立つ行動はできないので怒ることができない。エレンは何かを思いながらうわの空である。

「エレンも食べて」「アイスか」「知ってたの?」「オヤジの記憶で知ってるだけだ。収容区のエルディア人はめったに食えない。壁の外はこんなに広いのにな」

エレンがもう違うことを考えていることはこのセリフなどからミカサは気づいていたが、それを認識したくなかったのだろう。

「私達は気づかなかった。もしくは気づきたくはなかったのだろう」

エレンが父親の記憶を見る事でマーレの街に関する情報を持っていることがここで示された。エレンは訪れたことはないがマーレの街を知っている。ミカサはエレンが変わってしまったことに気が付いていた。しかし、それを認めたくなかった。

リヴァイが、子どものスリに財布をすられたことを気付いて、子どもを止める。周りの人々が子どもをリンチにかけようとするが、目立った行動を避けたいリヴァイは子どもを助けてその場を逃げ出すことにした。

アズマビトの屋敷に到着した一行は、キヨミからエルディア人の世界における歴史と現在の扱いについての説明を受ける。

エルディア人はかつてはユミルの民を取り込むことが高貴であることとされたが、帝国の衰退とともに国を追われる立場となり果てたのだった。パラディ島からの友好を図るのは困難だろうとも。だが、友好の道がないなら、ジークの謀略に乗り、ヒストリアと生まれてくる子どもを犠牲にするしかないとアルミンは主張する。ハンジが期待するのは、明日の国際討論会で初めて登壇するユミルの民の保護団体らしい。キヨミはその団体の主張をまだ知らない。できれば、話があうならハンジとしてはその団体とつながりを持とうと考えていた。キヨミは特には期待をしていない表情だ。ここでミカサがエレンがいないことに気が付いた。エレンはどこだ?

さきほどのスリの少年が走り去り、エレンのほほを涙が落ちていく。

海の上には月が照っているのをエレンが1人で眺めている。この時点でエレンは運命を知り、そのことに涙を流していたのだろうか。エレンはおそらくスリの少年と話し合い、お金を与えたのだろう。ミカサがエレンを見つけて、今自分たちが敵の真っただ中にいる危険について指摘しようとするが、エレンは緊張していない。運命を知り、未来を知っているエレンには恐れや緊張がない。ミカサは先ほどの少年が手を振っていることに気が付いた。

「何があったの?」「まだ何も」「どういうこと?ここは?」「戦争で居場所を失くした人達が暮らしている。俺達もそうだった。ある日突然に日常が終わって、何もかもが奪われた。すべての自由が奪われるんだ」

そこは戦争からの避難民達が暮らすキャンプ施設だった。まだ何も起こっていないというエレンは、これから起こる未来を知っているのだ。エレンは同じような境遇で、すべてが奪われた人たちへの同情などの感情であふれそうだ。そしてエレンは自分がそのような境遇に人々を追い込むこともまた未来の記憶で知っているのだ。エレンは自分の秘密を話すことはできない。話しても信じてもらえないか、話しても意味はない。話してしまえば、島の人間を救えなくなるからだ。エレンは苦しい。エレンはついにミカサに問いかけた。

「ミカサ、お前はどうして俺のことを気にかけてくれるんだ?お前は子どもの頃、俺に助けられたからか?それとも俺は家族だからか?俺はお前の何だ?」

突然の事に、とまどうミカサは即答などできない。エレンは聞いてしまう。聞くまでもない、聞くべきでもないかもしれない。エレンにとってはしかし、聞くことで明確になる。

「あなたは、、かぞく、、」

なぜかそこに避難民のおじいさんが現れて、お茶を差し出している。調査兵団の他のメンバーにも見つかった。ミカサが自分の気持ちをはっきりと表すチャンスはやはりなかったのだ。

避難民のキャンプで調査兵団のメンバーはごちそうでおもてなしを受けることになったようだ。言葉が通じないのに飲み会である。ごちそうを食べ、酒を飲み明かしてみんなとなかよくなる。エレンもお酒を飲んで笑顔になって、みんな酔いつぶれてしまった。エレンもミカサもみんな笑顔で飲み会を楽しんでいる。もしかしたらミカサにとってはもっとも楽しいエレンとのひと時だったかもしれない。

翌日、議会で、ユミルの民の保護団体の演説が行われている。議場では大勢の聴衆がいるが、調査団の一行や、キヨミも演説を聞いている。

「、、哀れな被害者なのです。依然、憎むべきは島の悪魔どもに他なりません。忌むべきは100年前よりあの島に逃げた悪魔!我々の敵はあの悪魔なのです!」

満場の拍手が巻き起こった。この団体の主張は好意的に受け入れられたようだ。しかし、島の人々に対してはこの団体は好意的ではないことは明らかになった。期待していたのとはまったく逆の内容を聞いてハンジ達は失望の表情を浮かべている。ハンジの狙いは外れた。この演説を聞いていたはずの、エレンは演説が終わるとともにさっさと議場を出ていった。アニメでは簡単に描かれたが、ここは重要な場面だったはずだ。エレンはここで決心したのだ。大陸との友好的な解決はありえず、自分がやるしかないということがこの演説ではっきりとした。なので、もうミカサ達と行動を共にするのではなく、ジークの策謀に協力することで島を救う。これしかないと決断した。

「あれから、エレンは私達の元を去った。

その後、彼から届いた手紙にはジークにすべてをゆだねると記され、次に顔を合わせた時にはもう手遅れだった。はたして他に選ぶべき選択肢があっただろうか?すべては最初から決まっていたのかもしれない。それでも、考えてしまう。あの時、もしあたしが別の答えを選んでいたら、、結果は違っていたんじゃないかって、、」

ミカサの無念が強まる。自分は家族だという、それ以外の言葉をいう事ができたなら、エレンの思いや決断が変わったかもしれないというミカサの考え。はたしてどうだっただろうか?地ならしの巨人達の蒸気が海の上で吹きあがるのを船の上で見つめながらミカサは思いに沈む。

そして、進撃の巨人ではめずらしいナレーション的な説明が、ミカサの代わりにこんどはエレンの声でなされる。

エレンの回想なのか。

「どこからがはじまりだろう?あそこか?いや、どこでもいい」。すべては俺が望んだこと。すべてはこの先にある。」

全ての始まりとは、どの始まりなのか。2000年前の始祖ユミルの記憶から、エレンが生まれて育ち、そして戦ってきた歴史、そしてやってきたこと。エレンの回想にはユミルが見たはずの映像も映される。豚小屋の映像はユミルが逃がして自由にしたという豚だろうか。エレンは最初から自由であることを望んだ。そのために進み続けてきた。

イェレナとエレンが秘密裡に会って、エルディア人の安楽死計画について話している。

どうやらフロックが隠れてそれを聞いている。

エレンはフロックに「俺はジークの計画に従うフリをする」と説明していた。フロックはこの時点でエレンの計画のサポート役だったわけだ。

そしてまた場面が変わり、エレンはヒストリアに会っている。

エレンの髪が伸びていないので、マーレに行く前の時点であることがわかる。

「憲兵団はお前を巨人にしてジークを食わせる計画を進めている。憲兵と争うか、ここから逃げるかしか手はない」「私だって牛の世話だけしてたわけじゃない。わかってる。争う必要も逃げる必要もない。この島が生き残る一番堅実な方法があれば、私はそれに従う」

エレンは無表情で聞いている。

「他に方法はなかった。でも、あの時、エレンがかばってくれて、みんなが動いてくれたから、、私はそれで十分だよ。」「お前が良くても俺は違う」「え?」

「世界を滅ぼす。すべての敵を、この世から。一匹残らず駆逐する!」

「そんなの間違ってる!島の外の人すべてが敵じゃないのに!あなたのお母さんみたいに、突然、何で殺されるのかわからない人がほとんどなんだよ!」

「わかってる。でも、憎しみによる報復の連鎖を完全に終結させる唯一の方法は、憎しみの歴史を文明ごとこの世から葬りさることだ。」

呆然と絶望の表情で聞いているヒストリア。言葉が出ない。

「お前に島のいけにえになるための子を産ませ、親子同士を喰わせ続けるような真似は俺がさせない」

自分の事を思うセリフを言われて、ヒストリアはやっと言葉が出た。

「私は、エレン、あなたを何としてでも止めないと!二度と胸を張って生きていくことができない」

「耐えがたいなら始祖の力で記憶を操作する。それまでお前が黙っていれば」

「そんなこと!」

「できるさ。お前はあの時俺を救ってくれた、世界一悪い子なんだから」

ここで、場面はまた転回する。エレンがジークと話し合っている。アッカーマンの特性について話し合っている。頭痛がするなどいう持病はアッカーマンにはないとジーク入っている。すると、ミカサにある頭痛の持病はアッカーマンの特有のものではなかったのか?

エレンはミカサにウソをついた。

それはエレンがミカサを切り離すためのものだったのか。ジークははっきりという、巨人を捻り殺せるぐらいお前が好きなだけだと。エレンはそれを冷たく聞いている。エレンはミカサが好きではないのか?

そして、エレンの意思がどうにもならないことがわかったヒストリアは最後の提案をする。

「私が子どもを作るのはどう?」

ここで、ヒストリアとの回想シーンは切れてしまう。ヒストリアと子どもを作ることに対してエレンはどう反応したのか?エレンはヒストリアと契って子どもを作ったのか?物語は明かしてくれない。エレンがヒストリアと子どもを作っていたなら、エレンはマーレ大陸に赴く前にはミカサを裏切っていたことになる。

そして、回想は戦場へと飛ぶ。エレンは、歯を食いしばり、自らの足を斬り、目をつぶして負傷兵になりすましたのだ。

それは、エレンが望んでいた事。エレンが死んでもみんなが幸せに生きていくこと。そのためにエレンは行動する。

ここまでで、マーレ編の最初へとストーリーがつながる。エレンがどのようにマーレへと渡り、イェレナやジークと会い、フロックを操ったのか。

エレンの回想が終了し、場面は艦隊がどこまでも並んでいる海の様子が写される。世界連合艦隊だ。地ならしの巨人を迎え撃つため、すべての戦艦を集めて大砲によって攻撃するために集められた。

一斉に響く大砲発射の音と、打ち出される砲弾。一部は巨人に命中するものの、巨人の数が多い。そして、巨人の強烈な蒸気にさらされると戦艦も人間もすべてが蒸発してしまった。

人類のすべての戦艦が巨人の前には煙となっていった。

沿岸では、兵士達が大砲を並べて、巨人に砲撃してみるものの、巨人は大砲の砲弾が当たっても何も動揺などしない。全く効果がないとわかると兵士達は逃げ出した。

逃げていく兵士がフト振り返ると遠くに何かが見える。あれは、巨人よりもさらに大型の巨人だ。

 

「し、進撃の巨人だ!」

巨人達は、人間の作った大砲を踏みつぶしていった。

「駆逐してやる!この世から!一匹残らず!」

エレンが愛していたのはミカサなのか?それともヒストリアなのか?

エレンは、アッカーマンについてのウソをついてまで、ミカサに自分を諦めさせて自らは世界を滅ぼす悪人となって島の住人を守り幸せに暮らしてほしいと願っていた。だが、ミカサはそのうちのひとりにすぎなかったのだろうか?特別な女性として愛してはいなかったのか?ここで、エレンがどうして世界を滅ぼす予定をヒストリアに伝えていたのか?という疑問が起こる。ヒストリアはこの事実を知っている必要があるような描写はなかったはずだ。知らないままでもよかったのにそれをエレンは伝えた。エレンにとって特別な存在はヒストリアであって、ミカサではなかったのではなかろうか?

 

次のシーズンはファイナルシーズンの完結編となる。長かった進撃の巨人も完結に向けて動き出す。