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進撃の巨人 第81話「氷解」立体機動活劇がかっこイイ!第一期の恐怖が復活。そして対立が止まり、アニはついに外へと出てくる - アニメ猫のアニメ日記
壁の巨人たちが歩く轟音がトロスト区に響き渡る。壁の巨人によりトロスト区でも市民に犠牲が出始めていた。市民はエレン・イエーガー支持派と反対派で対立が出始めていた。市民の間の興奮状態が暴動に発展する事を恐れたヒッチは、憲兵隊の武器を収集に向かった。そこは、結晶化することで拘束されることを逃れたアニが保管されていた場所だった。ヒッチは、何者かが水浸しで通路を歩いていたことに気が付く。
「地下室?から?」
足あとの向かった先の部屋には、おそらくアニがいる。ヒッチは確かめるために部屋に入った。アニはヒッチを抑え込もうとするも、アニは四年間の結晶化された中での睡眠のためか、体が消耗していた。体も四年前のままで成長していない。ヒッチはアニを投げとばす!
「力が弱すぎておばあちゃんかと思ったわ!あんたがまさか私に投げ飛ばされるとはね!」「よりによってあんたか、ヒッチ」
ヒッチがまさか自分に投げ飛ばされるとは、というのはアニの格闘術の実力を知っているから出た言葉だろう。体が消耗していなければ、アニの格闘術の実力からしてとても投げ飛ばすことなどできなかっただろう。四年でヒッチが大人の体格に成長していたせいもあったかもしれない。
「とにかく地下室だ。拘束しないと町がまた。誰か!」「無駄だよ」
ヒッチは手に血が付いていることに気が付いた。自分のものではなくアニのものだ。
「切り傷をいれてある。いつでも巨人化できる。あたしに従うしかないの。あんたは」「どうかな?そんなに弱っているのに巨人化する体力なんてないでしょ?」「そうかもね。いちかばちか試してみないと」
ここでヒッチはひとつの決断をせまられた。アニに従うか、アニをあくまで拘束するか?ヒッチはアニが巨人化できるかどうかを確かめるより、今自分たちがおかれている状況をアニに見せる方を選択した。
「思ったより賢いじゃない。ヒッチ」「うるさい。あんたが街を出るならそれを断る理由はない。なにより地下室であんたの顔を眺める仕事から解放されるしね」「それはよかった。これでようやく終わるのね。あんたのくだらない男のグチを聞かされるのも」「う?なんでそのことを?あんたまさかずっと意識があったの?」
眠っていたはずの四年間、ヒッチやアルミンは時々アニの所へきて話しかけていた。その話はアニは聞いていないかに思われたが、アニは聞いていたのだ。
なぜヒッチはアニと一緒に行くことにしたのか?
ここでヒッチはアニに同行することにしている。ヒッチが馬をあやつり、後ろにアニを乗せている。別にヒッチは同行する必要などないはずなのになぜ一緒なのか?ヒッチにはアニに聞いてみたいことがあったからだ。
「その足元をみなよ。あたしが兵士になってやった意味ある仕事は遺体と瓦礫の後始末。あんたとエレンの暴れた後のね。今なら答えてくれる?あんたたちの大層な目的のために踏みつぶされた死体を見てどう思う?」「ああ、何度も聞かれるから考えたよ。考えもしなかったことを。人を殺すことは褒められることだった。国境を越えれば戦闘員も民間人も区別なく殺していいと教わった。私たちエルディア人の贖罪と世界を救う使命のために。すべての行いは正当化された」
「いや、世界を救うとかどうでもよかった」「はあ?」「私は生まれて間もなく親に捨てられた」
ヒッチの踏みつぶされた人々を見てどう思うのか?の問いかけにたいして、アニは自分の人生を語り始めた。そうしないとヒッチには通じないし、自分も納得できないのであろう。アニは捨て子だった。アニを拾って育てた男は、アニを戦士にするためにきびしく格闘術を教え込んだ。アニは愛情を感じなかった。アニは人を愛する人間としては育てられなかった。アニはどうなってもよかった。命に価値があるとは思えない人間だった。
「何?何?何の話が始まったの?」「四年間一方的にあんたの話を聞いたんだから少しぐらい私の話をしたっていいでしょ。だから私はどうなってもよかった。どこの国の何人が死のうが生きようが自分を含めて命というものに価値があるとは思えなかった。あの日までは」
しかし、アニの話は大きく変わる。戦士になると決まった日にアニの父親はアニに両手をかけて懇願した。生きて帰ってきてくれと。生きることなどどうでもよいと思っていたアニに生きる理由が生まれた。
「男は私の父親だった。私を娘だと思っていた」
ここの部分のセリフは意味深な発言である。男はアニの本当の父親だったという意味だろうか?それとも心情的に父親になったということだろうか?どちらともとれる言い方である。しかし、前段でアニは自分は捨て子だったといっていること、髪の毛の色が違っていることから、おそらくアニとこの男には血縁関係はなく、この瞬間に父親になったという意味だろうか。
「私には帰りを待つ父親がいる。そして私と同じように他の人にも大事な人がいる。もうすべてがどうでもいいとは思わない」
アニは自分の罪を認めている。ヒッチとアルミンが四年間、一方的にではあるがアニに対して話しかけていたことは無意味ではなかった!アニはそれを聞いて考えなければならなかった。そしてアニは変わった。しかし、アニは父親の元に帰るためなら再び人を殺すこともするだろう。ヒッチはアニの贖罪の言葉を聞けて良かったと言っている。しかし、現実は地ならし発動で、アニが帰ったところで、父親は巨人に踏みつぶされて死んでいるだろう。このまま何もしなければ。
一方、マーレのエルディア人の収容所では、
エレンが宣言した地ならしについて必死の警告を収容されている人々が行っていた。アニの父親も必死に危機を訴えるが、マーレ人達には受け入れられない。ここで、アニの父親はアニと約束したことを、思い出す。
「だから、約束してくれ、帰ってくるって」「わかった。約束する」
アニが回想で語った部分には、この「約束する」というセリフとアニが泣いている場面がなかった。父親の方から見たアニの「約束」の意味がより大きいものにするためににこのシーンを入れたのだろうか。
男らしいシャーディス教官は逃げるだけの理由がない
前回、巨人の掃討に大活躍して兵士たちを指揮したシャーディス教官だったが、夕焼けの時間では傷の治療をしていた。そのころには、イエーガー派達が砦を掌握し、実権を手に入れていた。前回のように暴力を振るわれる危険から逃げようと進言に対して、シャーディスは逃げるつもりがないという。もう逃げ場所もないし、逃げる理由もないのだ。古い人間はみな死んだ。一部は巨人化して自らが葬ったのだ。自分についてこようとする若手を対して、おまえらはイエーガー派についていけという。自分を守り、命を保つために。未来のために。シャーディスはここでも漢を見せている。あくまでくじけず、未来のために、人のために生きている。
アルミンとミカサはもうどうしたらいいのかわからない。
「アルミン、待って、今からラガコ村を目指したってコニーには追いつけない。それに追いついたとして、どうするの?お母さんを人間に戻すことをあきらめろっていうの?」「いうよ」
行こうとするアルミンにミカサは助けを求める。
「わたしはどうしたらいいの?」
ミカサにはもうすべてがわからない。エレンの行動が理解できず、とまどうだけである。だがそれはアルミンも同じなのだ。エレンをどうするのか?アルミンにはわからない。ハンジもリヴァイの安否も不明である。地ならし発動で世界が滅びそうである。フロック達がアルミン達にも襲い掛かるかもしれない。アニも復活したかもしれない。すべてが混乱したなか、さすがのアルミンも冷静さを失ってしまった。アルミンは生き返るべきは自分ではなかったと吐き出してしまう。ミカサはふと自分のマフラーがないことに気付いた。
ガビは、アルミンに同行してファルコの救出に向かうことにする。
ガビはカヤに別れを告げる。
「私の本当の名前、ガビっていうの」「え?ガビって変。ミヤの方がいいよ。」「はあ?」「じゃあね、カヤ、、さよなら、ガビ」
二人は抱擁して別れを告げたのだった。二人の仲が和解したことを確信した瞬間だろう。
そして、夕焼けのなかで砦でもドラマが進行していた。
イエーガー派のフロックが義勇兵たちを集めていた。フロックが言うことをきかない義勇兵に対して発砲した。
「なあ、フロック。誰がお前にお山の大将気取って欲しいと頼んだ?」「よく聞いてくれたな、ジャン!みんな聞いてくれ!俺は十カ月前、エレンから今回の計画を聞いた!ジークを利用し始祖の力をエレンが掌握する計画だ!俺は仲間を集め、エレンの手助けをし、計画は今日達成された!お前たち義勇兵は指導者を失った!味方をしてくれる兵団の後ろ盾もな!そしてお前たちは故郷をも失う!地ならしによってすべては巨大な足あとの下だ!お前たち義勇兵がこの島に来た動機である故郷の復興の夢も失う!それでも!この島でエルディア帝国のために力を貸してくれる者がいるなら、声を上げよ!我々は歓迎し、エルディア人として迎え入れる!」
遂にフロックの動機と計画と目的が明らかになった。エレンが計画をフロックに明かしていたのだ。義勇兵は牢に入れられることになった。
「さっきの質問だが、俺はエレンの代弁者だ。エレンが島の外の問題を完全解決するなら、俺は島の中の遺恨を完全に消し去る。とにかく俺たちは四年前、あの地獄を生き残ってようやくこれを手にしたんだ。これが何かわかるか?自由だよ!もうお前らは戦わなくていい、好きにいきていい!」
フロックの欲しいものは自由だった。戦って手に入れたものだ。エレンが欲していたものだ。ジャンは自由に生きていいといわれてもこれが自由であるかどうかわからないだろう。
ミカサはフロックにリヴァイとハンジの安否を聞いたが、フロックは彼らが死んだとウソをついた。生きていてもらっては都合が悪いと考えているからだ。
そのころ、コニーはファルコを馬に乗せて、自分の村に急いでいた。
村には彼の母が巨人のまま動けずにいる。ファルコにはどうして自分が運ばれているのかわからない。知性ある巨人になった時にはみな、記憶が飛んでしまう。つまりファルコには自分が知性ある巨人を継承したという自覚がないので、コニーの目的がわからないのだ。コニーはファルコを自分の母親に食べさせて人間として復活させるつもりである。
壁が崩壊する際に下に落下していったピークとマガトであったが、今は壁の巨人達の行進をなすすべもなく見つめているしかなかった。
マーレの脱出用の飛行船は彼らを見捨てて慌ててマーレへと帰還するようである。マーレに非常事態を伝えるためだろう。そこへ、何やらちょっとひょうきんな調子で、ハンジが登場した!
「あのー、ちょっと待って!!とりあえず、食べないで、、こちらには何の武器もありません。え?あっちに誰かいる?あーご安心ください、あれは、人畜無害の死にぞこないです」
思わずハンジを攻撃しようとするピークだったが、ぎりぎりで止まった。ピークの車力の巨人は、ピークの半身を外に出したまま行動できるらしい。ハンジが言った死にぞこないは、リヴァイだった。ケガだらけで死にそうである。しかし、リヴァイは人畜無害な男ではない。というか人類最強と言われた男だったのだが。
今回のサブタイトルは「夕焼け」。夕焼けのなかで、さまざまなドラマが同時進行で一挙に行われた。地ならしという大激動が時代を、人々を動かしていく。