岡田斗司夫氏によるアニメ業界の内幕説明
【製作委員会】世界中から出資が集まっているのに日本のアニメ現場が貧乏なのは彼らの存在があるからです。【岡田斗司夫/切り抜き】 - YouTube
普段は、「善悪」とか「悪人」とかでは語らない岡田氏が、今回は、あの「おじさん達」のせいだ、として語ったアニメ業界のアニメ制作委員会方式についての内幕の説明。
今やアニメは儲かるからと世界中から資金が集まるようになったアニメ業界。それなのにアニメ業界の現場は貧乏なまま。それはあの「おじさん達」の存在があるからだと説明している。
日本のアニメの多くで採用されている「アニメ制作委員会方式」
いくつかの出資者から資金を出し合ってアニメを制作する「アニメ製作委員会」。岡田氏はこの方式が原因でアニメの現場にお金が回らず貧乏なままになる原因だとしている。
アニメの製作費には天井の設定がある
アニメの製作委員会に対しての「おじさん達」は一定の影響力を残したいので、固定の出資比率を維持したい。一方で、出資できる金額には一定の上限がある。結果的にはアニメ一本に対して出資できる制作費用には上限が設定される。これがアニメの製作費用の天井の設定となる。だいたい、一つの作品で2億とか3億ぐらいだろうか。
くだらないアニメが多く作られる原因とは?アニメ製作数が増える理由
一本当たりの製作費用には上限としての天井が設定されているが、一方でトータルのアニメに対する投資や出資金は増えている。結果的に多数のアニメの企画にお金がばら撒かれている。これがアニメが多く作られすぎる原因となる。どうしてこのようなくだらないアニメの企画が通ったのか?という疑問に対する答えがこれ。
2021年でもアニメの製作本数が多いのには変化なしだが
この岡田氏の映像は2016年12月のもの。それから5年が経過したがアニメ業界の製作委員会方式もあまり変わっていないようだが、わずかばかりか変化の兆しもみえてきた。その一つにufotableが作った「鬼滅の刃」がある。
鬼滅の刃の製作委員会は、3社しかいない
テレビ版が大人気となり、劇場版「鬼滅の刃 無限列車編」も史上興行成績一位に輝いた鬼滅の刃。この作品の製作委員会には、集英社・アニプレックス・ufotableの3社しかいない。結果的に興行収入などの利益はこの3社で総どり、ではないだろうが、利益を大きくとることができたはず。
必ず大ヒットするとわかっている作品なら、わざわざ出資者を多く募って利益を分配する必要なんてないわけだ。また、制作費用も細かく分割してたくさんの作品に分配するより、利益が出る作品に集中した方がいい。もちろんこれは、どの作品がヒットするのか事前に判明しているなら、取ることができる戦略だ。ヒットしなかった時のリスクはあるが一つの作品にコストをかけることができるようになる。
ufotableの社長も、脱税事件にからんだニュースではあるけれども、「もう赤字でアニメの製作を引き受けることはない」と発言している。
脱税の「鬼滅の刃」制作会社社長が本人尋問で“驚きの発言” アニメ業界の構造的問題が明らかに(デイリー新潮) - Yahoo!ニュース
通常のアニメ製作は、依頼されたアニメの製作費だけではペイしない、つまり赤字で制作している場合が多い。他の収入、キャラグッズの売上げなどで補填してやっとこさ収支をトントンにしているだけで、時たまヒットアニメが出現してくれないとアニメスタジオは倒産してしまうような経理状態なのだ。
これではアニメの製作現場の貧乏を改善するところではないだろう。現状の製作委員会方式を止めるだけが解答ではないだろうが、何かの改善をやらないとアニメの製作現場は疲弊していくばかりだろう。