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進撃の巨人 第82話「夕焼け」解説と考察 アニが復活!アニには生きていて欲しい人がいた、そしてハンジとリヴァイが生きていた! - アニメ猫のアニメ日記
ハンジがマガト達と接触するすこし前の時点からストーリーは始まる。
サブタイトル「矜持」の意味。
辞書的には、自信、自負、自尊といった誇りやプライドの感情、とある。この場合は、各自の矜持や意地を見せてくれる回だろうか。
ハンジは、もとは仲間だった追手の兵士を射殺した。そして涙を流し、安全と静寂を確保した。
リヴァイの顔の傷を丁寧に縫いながら、話すのは今後についてだ。ハンジは巨人にくわしいだけではなく、医者のように傷口をキレイに縫い合わせることができる。有能な人である。
リヴァイの治療はなんとかしたものの、ハンジは事態の趨勢に判断がまだできていなかった。エレンがジークを裏切っているのかどうか?もハンジにはわからない。イエーガー派がこの島で力を持ってしまえば、ハンジ達はお尋ねものである。自分もいよいよおしまいかもしれない。自らの力でなんとかできると考えることができない。「いっそ、二人でここで暮らそうか?」とあきらめたようにつぶやいてしまうほどだった。
そしてその時に、ハンジもまた、エレンのあの始祖の力を使った決意の宣言を聞かされるのである。エレンのあの宣言は夕焼けのなかで行われていたと思うが、なぜかハンジは夜に聞いている。時間的にズレているような気がするがどうだったか。また、リヴァイもまたこの宣言を聞いていたはずで、ハンジの横にいないといけないが描かれていないのは何か理由があるのだろうか?恐ろしい流れに驚くハンジ。重症なのに動いていこうとするリヴァイ。
「あの獣のクソ野郎はどこだ?」「動いたらダメ」「いったい何があったの?」「ヘマをした。ヤツに死を選ぶ覚悟があることを見抜けずに、また逃がした」「無念でならないだろう、だが今は、、」「このまま、逃げ隠れて何が残る?」「な、なんだよ、私のひとりごと聞こえていたのか」「何を作ってやがる。あれで俺を馬で引こうってか。蚊帳の外でお前がおとなしくできるはずがねえ」「ああ、そうなんだよ、できない」
リヴァイの言葉で、ハンジは自分があきらめることができないことを確認した。だからこそ、重症の体のまま、リヴァイは移動してきた。
リヴァイは何もしないまま、終わるわけにはいかない。といっても大義のためではなく、ジークを殺すためにリヴァイは全力を尽くすつもりだ。それがリヴァイが、ピークとマガトの二人に危険を冒して接触した理由だった。地ならしの振動が響き渡る中で、リヴァイとマガトが睨み合う。
「リヴァイ・アッカーマン、九つの巨人にひけをとらない強さを持つらしいが、そのザマでどうやって俺の弾丸をよけるつもりだ?」「弾はよけられない。だが、このザマをみすみす敵に晒した。撃つか、聞くか、あんたたちしだいだ。」「では、撃つ前に聞こう。ジークを殺すといったが、ジークはどこにいる?」
マガトとリヴァイの相手を推し量るための言葉のやり取りは相手の矜持を確かめるためのものだ。マガトとリヴァイは睨み合って相手を推し量っていた。どんなやつなのか。命をかけるだけのことができるヤツなのか。
「我々はやるしかないんだよ。みんなで力を合わせようってやつを」
ハンジはジークを殺せば、地ならしは止まると推測し、ジークをマーレの兵力とあわせてなんとかしようと考えている。確かにマーレと争っている場合ではない。
そして、夜になった。
ジャンもミカサもベッドに入って休むことのできる状況にはなったが、寝ることはできない。地ならしの地響きが終わっていないからだ。そして、ヒッチとアニもどうやら街についてベットにたどり着けたようだ。ヒッチは寝ているが、アニは起きていて地ならしを眺めている。この状況のなかでもヒッチは寝ることができるので、肝の据わった人なのだろう。
コニーとファルコはその夜を野営で過ごした。
まだコニーはどのようにファルコを巨人に食べさせたら良いかを考えていたため、夜を通して移動することをしなかったのだろう。これにより夜通しで馬に乗ったアルミンとガビが追いつけることになる。朝になって、今では巨人監視区となっているラガコ村にコニー達は到着した。ファルコはラガコ村だと知っていた。コニーのつぶやきを寝ながら聞いていたから。
コニーは巨人になった母親の姿をファルコにに見せた。コニーが考えた、巨人にファルコを食わせるやり方は、巨人の歯磨きをさせることだった。コニーの顔が奇妙に歪む。根が正直で人がいいので、コニーはウソが下手で、ウソをつくと顔に出てしまうのだろう。
それでもファルコは信じようとした。そこへ、アルミンとガビが間に合った。「ファルコ逃げて!」
ファルコを人質にとってコニーはなんとかしようとするが、ファルコは知性型巨人であり、刃物を突き付けたぐらいでは本来なら脅しにはならない。このことをコニーもアルミンは知っているが、それでもアルミンは止まる。アルミンにできるコニーを説得する方法は、アルミンも考えていた。自らをコニーの母親の巨人に喰わせて人間へと戻すことで、知性型巨人の継承者としての矜持を示すことだ。
コニーはアルミンを助けざるおえなかった。コニーは人がいいヤツなのだ。これでやっとコニーは考えることができた。このような方法で、人間に戻ったところで母親は喜ばないだろう、苦しめることになるだけだと。ファルコもガビもコニーを責めるセリフはない。ファルコは自分の過酷な運命を驚き悲しむだけだ。母親が望んでいたのはコニーが良い兵士になることだ。コニーは母親の願いを叶えるべく砦に戻ることにする。
そして、ミカサは行方がわからない自分のマフラーを探していた。
傷病者のいる施設でミカサはルイーズを見つけ出した。
「探した」「うれしいです。私を探してくれたんですか?それともこのマフラーを?」「あなたが持っていると思った」「ごめんなさい、でも、あなたに近づけると思って。」
ルイーゼはマフラーを盗んで持っていれば、自分を探してくれると思っていたのだろうが、他人にとって貴重なものを盗んでまで関心を引くのは得策ではない。ミカサを怒らせただけである。ルイーゼは致命傷を負ったようだ。しかしミカサには同情の表情は微塵もない。ルイーザはもっといろいろとミカサと話がしたいようだが、ミカサの用事はマフラーを返してもらうことだけだった。ルイーゼが片思いをしているだけで、ミカサは別にルイーゼが好きではないのだ。ミカサはマフラーを取りもどしたので、ルイーゼの話が途中らしいが立ち去ることにする。
コニー達が砦に戻り、ライナーを回収しようとする途中で、パイを食べて腹ごしらえをしていると、隣にアニが居て、パイをむさぼり食っている。
「しかし本当なのかアルミン?」「すべての硬質化が解かれたのなら、アニも復活した可能性がある」
自分の話題が隣の会話で出てきて、アニはビックリしてしまう。アルミン達もアニに気が付く。あまりに唐突にアニがムシャムシャと食べているのをみて、コニーは大笑いしてしまう。コニーの正直なところが出てきた。アニは四年間の睡眠でお腹がすきまくっていたのだろう。アニはヒッチとは別れ、アルミンと合流する。アニはアルミンが好きだし、アルミンもアニが復活したか気になってたし、まあ一緒にいくよね。しかし、二人が相思相愛であることを確認するとかしないのが進撃だ。ヒッチに置手紙したアニだったが、ヒッチへのお礼の言葉があった。
「四年間、話しかけてくれてありがとう。陰湿なルームメイトより」
地ならしの音は自由への鐘の音か
「あの巨人が地ならしの最後尾か」「やっとこの地響きから解放される」「俺には自由を照らす鐘の音のようだったよ」
ここでも自由というキーワードが使われている。地ならしがもたらすのは島にとっての自由なのだという主張はフロックも使っている。そして、フロックはかつては別の演説がされていた場所で、演説をする。クルーガー派の新しい時代に関するものだ。俺たちは自由だ!と。ミカサもジャンも厳しい表情でその演説を聞いているだけだ。
そして、イェレナの処刑の時間がきた。
オニャンコポンも処刑されるようだ。義勇兵としてパラディ島にきたが、ジークの陰謀のために働いていたイェレナは、早く楽になりたいようである。最後の言葉も残さない。オニャンコポンはイエーガー派とともに歩むことを吉とはせず、処刑される事を選んだようだ。
「罪人はオニャンコポン。罪人は安楽死計画を知らず、エルディアのために良く働いた。だが!エルディア帝国に従って生きるぐらいなら死を選ぶと吐き捨てた!気がかわったなら今のうちに、」「ハハハハ、マーレから故郷を救うためエルディアに力を貸した。それはあんたたちのためでもあった。そして力を貸した結果、俺の故郷は潰され、俺の家族は皆殺しだ。で、残ったのはデキの悪い排外主義者のクズ野郎どもか!ハハ!お前らに媚びてまで生きるほどの価値はない!突然無差別に殺されることがどれほど理不尽なことか知ってるはずだろう!どうしてあんたたちがわからないんだ!」
ジャンはオニャンコポンに銃を向ける。放たれた四発の銃声。それはオニャンコポンに当たっていない。それは計画継続するというミカサとアルミンへの合図だった。アルミンは一晩で、ミカサと合流し、計画を立てたのだ。突然、車力の巨人が処刑場に突入してきた。ジャンはフロックを突き飛ばして庇う。進撃では重要人物は簡単に殺さない。殺すのは意味がある時だけだ。車力の巨人はジャンとイェレナとオニャンコポンを口に入れて走り去っていく!
ミカサはいつのまにか、アルミンやガビ達と合流して、馬車を用意していた。
食料その他の装備を用意して脱出していく。馬車にはファルコやアニもいる。誰かがそれをみている。シャーディス教官だろうか?かつては敵として殺し合った間柄の者たちだが一緒に行動している。
車力の巨人の口内から吐き出されたジャンとイェレナ、オニャンコポンの三人の所にはハンジがいた。ジャンはあまりの息苦しさか気持ちの悪さのためかゲロを吐いている。
「いつの間にマーレと手を組んだ?」「昨晩だ」「いいのか?お前、イエーガー派にいれば地位は安泰のはずなのに?」「あのまま耳をふさいで部屋にこもっていたかったよ。でも、それじゃあ、骨の燃えカスの俺が許してくれねえんだよ」「ジャン、言っている意味がわからないけど、ありがとう」「いいから体洗えって」
ジャンはイエーガー派として安穏とした生活を送る選択はしなかった。命をかけて人々を守ってきた男にとって、世界を滅ぼしてしまう計画には賛同できないのだ。オニャンコポンはともあれ、イェレナはなぜ助けたのか?イェレナにはわからない。それはマガトの要求だったらしい。
ライナーを足で蹴って起こすアニ。
アニはライナーに対してはきびしい。
「起きな」「う、アニ!」「落ち着いて、ライナー」「安心してください、みんな味方です!」「時間がねえ、はやく行くぞ」「どこに?」「世界を救いに」
持てる戦力を敵味方関係なくただちにすべて集めて、世界が滅ぼされるのを阻止する。ライナーも働かねばならない。