2chのネタで
寄生獣、藤子不二雄の漫画のパクリだったことが判明 (リンク切れで削除)
パクリ呼ばわりされていた。さて本当にパクリなのか?チェックしてみる。
これはパクリ元とされたマンガ、藤子F不二雄の「考える足」
藤子・F・不二雄のSF短編漫画「考える足」のあらすじ・ネタバレ|藤子・F・不二雄 SF短編漫画図鑑
足が独自の意思を持ち、主人公と会話したりする。やがて反乱を起こそうとしたりするというようなストーリー。アイデアとかプロットとかは似ているといえるかもしれないが、こいいうのはパクリとはいわないな。基本的なアイデアが同じというだけではパクリ呼ばわりはできない。
このたぐいの話題はいろいろと興味深い話題もあるので、まとめてみよう。パクリってなんだろうか?
問題となるパクリとはどんなものか?
- オマージュや、インスパイヤされたレベルのもの、パロディは含まれない
- アイデアやプロットが似ているだけではパクリではない
- 問題となるパクリといえるのはストーリーが酷似していたり、丸パクリしている場合
著作権関係の事情として
- 法廷で判決が出るまでは正式にパクリとはいえない(倫理的、心情的な問題は別か)
- 著作権で保護されるのは、ストーリーであって、単純な設定やアイデアは保護されない。
- 元よりオリジナリティが加わっていればパクリではない。
- 元よりおもしろいものはパクリにならないが、元よりつまらないものは非難されてもしかたがない。
では、寄生獣とアイデアが似ていたり影響を与えた作品は?
「デビルマン」や「遊星からの物体X」は寄生獣に影響を与えたらしい。
デビルマンは人間と悪魔との対比など、アイデアのレベルでの影響か。これはどこかで作者が述べていることらしい。
「遊星からの物体X」は寄生生物に人間が乗っ取られていくという恐ろしさを描く所が寄生獣と似ているだろうか。
筒井康隆「ベトナム観光公社」に収録されている「トラブル」では寄生生物同士の戦闘を描いていた
筒井康隆『ベトナム観光公社』読了 ★★★☆☆|印度出版社議事録
マンガでは弓月光「エイリアン1/2」
藤子F不二雄「考える足」
海外SF小説 ハル・クレメント「20億の針」
Amazon.co.jp: 20億の針 (創元SF文庫): ハル クレメント, Hal Clement, 井上 勇: 本
古谷三敏「手っちゃん」 なんていうマンガもあったなあ。
ぜひリアルに実写化してほしい.....古谷三敏先生の”手っちゃん” | きたがわ翔のブログ
このように類似のアイデアや創作は「寄生獣」以前からあったものの、そのままコピーしているような作品は見当たらない。つまり寄生獣はパクリではない。オリジナルな作品だ。
人面疽という怪奇小説なんかにあるアイデアというか、エピソードはあった。起源は江戸時代の妖怪もお話にまでさかのぼることになるはず。人面疽のエピソードをさぐれば江戸時代の大昔まであるアイデア、ということになるだろう。寄生生物との語らいの物語は古くて新しいアイデアであって、それだけではパクリうんぬんすることってできないな。
「寄生獣」の新しい点・オリジナルな部分
- 設定自体はそんなに斬新ともいえないが、絵柄とマッチしたリアルで残酷な描写
- 妙にリアルな設定とストーリー、無駄のないプロット、ご都合主義ではない展開
- シンイチとミギーの会話のおもしろさ
- 主人公達以外の他のキャラも魅力的に描くことに成功
新しいと言える点は多いと思う。特に寄生獣の怖さや、後から湧いてくるミギーとの妙な友情みたいなものは不思議な感覚であって、リアルに描いている割には気持ち悪さだけではない世界を描くことに成功したマンガだったと思う。
寄生獣が名作と言われる由縁は怪奇小説の部分だけではない人間味のある怪物を描くことに成功したことや、ヒューマンドラマの部分でも味わい深いためだったと思う。
みなさんは、どう思うだろうか?できれば感想を教えて欲しい。