アニメ猫のアニメ日記

アニメに関しての情報を書き連ねていきます。

ガンアクションアニメ「ヨルムンガンド」を分析する


ヨルムンガンド (漫画) - Wikipedia

(監督 元永慶太郎 シリーズ構成・脚本 黒田洋介 アニメーション制作 WHITE FOX

を視聴。痛快ガンアクション。美少女が武器商人となって世界を舞台に活躍。作画やBGMなどクオリティは高い。銃声などリアルだった。銃器や兵器、航空機などリアルで迫力あったし、アクションシーンはよくできてた。各キャラなども特徴があっておもしろい人物が多かった。

ヨルムンガンド - アニメDVD・BD売り上げまとめwiki (リンク切れにより削除)

ディスク売上は3K程度か。ブラックラグーンほどには売れなかったか。

 ストーリーについて

アニメのストーリーは原作マンガのストーリーとほぼ同じだそう。

アニメのシリーズ構成・脚本は黒田洋介さんということで優れた脚本になっている。無駄のない展開と大人っぽいセリフが続き、小気味良くテンポの良いストーリー展開が全編を通じて続く。時々、難しい単語というか用語が出てきて、セリフが理解できずとまどう人もいたかもしれない。

シリアスとギャグのテンポも良かった。

このアニメはガンアクションが売りだからよく銃撃戦になるけど、敵の弾は味方にめったにあたらず、味方の弾は敵によくあたるという昔の戦争映画のようなガンアクションに特有のご都合主義である。だから味方の兵士はみな強く優秀という設定。

非情な殺し合いが毎回あるが、仲間たちはみんなやさしくユーモアに富んでいて仲が良い。まあほとんど仲間は死ななかったからね。戦闘でもすぐに敵が死んでくれるのであっさりした印象。

 第一期は各キャラのエピソードドラマぽい展開だけど、第二期ぐらいからストーリー物っぽくなってしまった。一期と二期では一期のほうがおもしろかった。第二期もいろんなキャラのエピソードドラマに徹した方が楽しめたのでは。

 ストーリーがちょっと軽いか。あんまり深いことを考えない。アクションとプロット重視の展開でキャラの心情はあんまり描かない。反戦ネタなんて中途半端にやるぐらいならアクションに徹した方が娯楽作としてはおもしろかったな。

脚本が安定しすぎで、不安定な方向のストーリー進展でハラハラ感や突き抜ける感があまりなかったか。

 ヨルムンガントプロジェクトについて

ヨルムンガントプロジェクトは荒唐無稽というか実現性がありえないわけで、これは不要な設定だと思った。ココの考えが理解不能に陥った。そんなことできるわけないだろうと思うし、作中でキャスパーが指摘していたようにおそらく無駄プロジェクトだろう。内容の説明もたいしたことないし。なぜ量子コンピュータを打ち上げただけで、航空機を止められるの?別に電子機器動かなくても飛行機は飛べるよ?ちょっとここのお話のツメが甘い。まあ原作がそうだというならしかたないかも。

ココがヨナにプロジェクトについて話して、もう私を殺しても止められない、とか言ってたのにプロジェクト発動したのは二年もあとの話になってた。全然止められただろう、というかなぜ発動してなかったのか?そんなに時間あるなら70万人死なせない対策とかしたのか?

 このアニメにおけるヨナというキャラの必要性って何だったのだろう?

ショタ要素としては人気がありそうなヨナというキャラの必要性はどこにあったのか。

少年兵からみた戦争という悲惨さなのかな?そうでもないような。

ヨナは武器を憎むとかいいながら、ココという武器商人と一緒に武器を売り歩くことをやっているストーリー展開がいまいち理解できなかったな。もっとココとヨナってその点について議論したり言い合ったりしてもよかっただろう。

少なくともヨナはもっと傷ついた心の動きについて描かれるべきだった。何の感情も示さない兵士のように動いているのは不自然だったし、武器を憎むという設定と違う。

「僕は武器商人と旅をした」とヨナが何度も呟くが、ヨナの心情ってあんまりストーリーで描かれてないので共感できなかったな。ヨナのナレーションとかヨナをさほど活躍させないのなら要らないのではなかったか?

ヨナのことをココのカセだといったり、ココの心のリミッターだといっていたなあ。危うい精神のココの安定剤としてヨナという存在が必要だったということなのかな。

ヨナはココの計画の内容を知って70万人死ぬと聞き、部隊を飛び出してしまう。しかし、その後ヨナは武器を捨てようとして捨て切れずに結局ココの部隊に戻ってしまう。このエピソードは残念というか不要というか。ヨナは三人の子どもたちの所へ行って、一緒になかよく平和に暮らすことにした方が良かったと思う。

ヨナも武器を捨てて兵士として生きる以外の道を歩けなかった。兵士としてしか生きていけない悲しみをヨナも他のキャラも持っていたはずだが、このアニメではその点は描いていなかったよな。

 その他足りないと思った点

ココって自分は武器商人だから悪党だと言っていた。しかし結局良心の呵責みたいなものを感じていたのをラストで吐露している。世界はキライだといっていた。あそこでそんなことを言うのは遅すぎないか。もっとはやく問題提起したほうが物語は盛り上がっただろう。

ココが武器商人になっていくくだりを描くとかしてなかったね。武器商人になった理由をくわしく描くこともなかったし、父親との確執について描かれることもなかった。ここらへんやるべきだと思った。

兵士は男中心でそっちはリアルなのに、博士三人は若い女性ばっかりってそこだけリアルじゃないのな。

ココと因縁のあるヘックスってあっけなくやられちゃったな。もう少しラストまでひっぱっても良かったような気がする。ヘックスとアールを失い、スケアクロウとさほどの連携できないブックマンは後半迫力を失った。

強力なライバルの不在が全編を通じて、緊迫感を削いだ作品にしただろうか。ブックマンが一期ではライバルっぽかったんだが、第二期では大したことないようなキャラになっていた。

兵士の心情に関する取材調査って兵器や銃器に比較してあんまりリアルじゃなかったような。リアルな兵士達、傭兵や特殊部隊員ってもっと人間味があるような。

登場人物の人数が多すぎるせいか、ひとりひとりのキャラの掘り下げが浅い。特に主人公のココとヨナ。第一期ではサブキャラの掘り下げなんてやらず、そんなのは第二期にまわして、ココとヨナについて描くべきだったんじゃなかろうか。

第一期のラストでバルメがカレンに何発も撃たれて死なず、カレンもヨナに数発胴体に食らったのに死亡していないのは不自然。ヨナがカレンまで応急処置をとったのも不自然。ヨナはバルメの味方であってその場ではバルメの応急処置をとるだけで精一杯のはずなのになぜ敵のカレンまで助けたのか?やっぱりご都合主義。

 

いろいろ分析してみると、初印象とは異なり、意外にまだまだ穴はある。